パブロフの犬と旧友の話

今日は学校を休んだ。
ビートルズのデッカレコードのオーディションの音源を手に入れて、ずっと聴いてた。ビートルズはこのオーディションで落選するわけだけど、大半の曲がジョンの曲で、Till there was youはジョージが歌っているし、ポール的にはあまり活躍がない音源だったけれど、もちろん僕はビートルズが好きだからそれでいいんだ!
僕はポールの作曲した曲は大好きだけど、ポールのカバーはあまり好きじゃない。実際、ジョンは多くのカバー曲を自分のものにしているけれど、ポールはせいぜいティルゼアとカンサスシティ、ロングトールサリーくらいなものだ。少なくともジョンに比べたら初期のポールなんて、いやむしろ初期の時代をいかにジョンが引っ張っていたか、だ。ポールは才能はあったけど、まだまだ開花していない。あくまでジョンのパートナーとしては最高だったと思う。そのジョンを超える時代は僕はRevolver(Got to get you into my life)以降だと思っている。

初期のサウンドで、僕は特に最初期なら、ジョージの声が大好きだ。作曲できなかったから歌う回数も減って、特に中期は散々だったけど、初期のジョージはビートルズらしくない、また違ったよさがわかる。


全部聴きおわったころ雷が激しかった。雹も降っただろ?


パブロフの犬とは僕のこと。
香水なのか、シャンプーなのか、洗剤なのか、何のにおいかわからないけど、一割未満の女性のもつある種のにおいに反応する。
もともと誰がそのにおいを身にまとっていたかはしっかり覚えているんだ。
しかし、厄介なのは、その人じゃない、まったく見知らぬ人であっても同じにおいであれば反応してしまうんだ。
僕は鼻がいい方だと思うけれど、こんなに特定のにおいに執着というか、反応するのは生まれて初めてだと思う。
いろいろ、人間は移り変わっていくけど、そのにおいだけは未だに変わらないんだ。
そのにおいがするたびにいやな思いになる。
そのにおいは僕の今抱えている自己矛盾との戦いにとって大きなかかわりを持つのだけど、近々遠い所に旅立った旧友のことを文字にまとめる仕事を抱えているので、その下書きもかねて書くわ。


だいたい一年前に、友達が真剣に、最近よく僕が使う言葉を使うと「サークルの延長ではない」ビートルズをやろうということになって、バンドをやったのだけど、正直に言うと、僕がものすごく適当に済ませたんだよね。まだ歌の重要性に真の意味で気づいていなかったのと、あとは会場の不備もあってテンションが下がっていたのだ。
まぁ何はともあれ、僕は友達をものすごく失望させたと思う。「もう一回」は二度となかった。友達は当時の僕よりもやる気のあるポール役を見つけたのと、あとはその友達が怪我をしたからだ。今振り返ると、まさか、あれが最後になるだなんて思いもしなかった。そして、もしも僕があの時もう少しまじめに彼の支えになっていれば、後の悲劇が起こらなかったと思う。
あれから僕は完全に彼のような「サークルの延長ではない」路線を離れた。
僕はピエロになった。
僕にとってビートルズが遊び半分になった。
実はそれがとてもいやだった。自分にとって都合のいい居場所を求め続けて、結局そんな場所は僕の心の中にしかなくて、現実世界ではそんな都合のいい場所は存在しなかった。僕はあれから迷走した。


彼は遠くに旅立った。彼を僕たちは"I'll get you"で、笑顔で送り出した。
僕はあれから未だに日本のリバプール、横浜に赴いていない。
彼が発った日から、僕はもともといたところに戻った。そこにはかつていた彼はいないけれど、またそのことが非常に大きな変化ではあるものの、それ以外は残されたものはほとんど変わっていない元の世界にようやく帰って来た。だからピエロの僕の近くにいた人は僕を非難する。
僕はピエロだったけど、今は違う。




僕は彼に感謝している。それと同様に、彼の生まれた環境、彼の家族、親戚、小さいころの友達、恩師、みんなに感謝している。
だから僕は近いうちに全てを放り出してそういった人・物に何か(といってもビートルズをやるくらいのことしかないのだけれど)をささげたい。何日でもいい。感謝の意が伝わって、自分自身納得できるまで僕はここを離れたい。
まぁ、これはあくまでも僕の願望に過ぎないのだけど。